能登の老舗酒蔵「数馬酒造 @kazuma_noto」に学ぶTwitter活用
ビジネスのご紹介
- 貴社ビジネスについて教えてください
明治2年(1869年)創業の石川県能登町にある酒蔵です。
経営理念に「能登を醸す」を掲げ、日本酒事業・醤油事業・リキュール事業を営んでいます。酒造りは自然の恵みによって営まれる産業です。能登の地で生きる酒蔵として、美しい能登の里山里海を守り、次世代につなぐために、醸しのものづくりで能登の魅力を高めることを使命に、地域に根差した活動に取り組んでいます。
主力商品である日本酒「竹葉(ちくは)」は、食の時を楽しむことをコンセプトに醸しています。日本酒が食卓に加わることで、いつもの食事がよりおいしく、楽しく、豊かに感じられるお手伝いができればと考えています。
- 貴社全体のマーケティングの取り組みはどのようなものですか
「地域を活かした持続可能なものづくり」「食の時を楽しむものづくり」「挑戦し続けるものづくり」の3点を価値(バリュー)として掲げており、Twitterをはじめ各種ソーシャルプラットフォーム、およびホームページ内の「醸しコラム」にて情報発信しております。
会社として大事にしている以下の理念やポリシーを、マーケティングにおいても実践するようにしています。
- 正しいことをする
- 戦わない
- 強みに特化する
数馬酒造のTwitter活用
- 貴社にとってTwitterの立ち位置、Twitterを利用する目的は何ですか
数馬酒造や竹葉の認知拡大と、竹葉を飲んでくださるお客様とのコミュニケーションをメインの目的としてTwitterを活用しています。
商品の持つストーリー性をお伝えしたいという思いと、#竹葉 のハッシュタグがついたツイートでお客様の声が直接聞け、そこからコミュニケーションが広がる楽しさを感じています。リアルタイムにお飲みいただいている方の様子を知れたり、タイムリーに状況を伺ったり繋がったりできることがTwitterの魅力です。発売したばかりのお酒の反響や楽しまれ方をサーチして、お客様の声の収集に活用しています。
また、石川県や能登といった地域内の企業同士のやりとりも、Twitterで積極的に行っています。酒造業界は歴史の長い業界のため、各方面の方々に支えられて運営しています。お酒はお米が原料なので、一次産業に従事されている方は欠かせません。能登は世界農業遺産にも認定されており、古くからの文化や伝統が根強く残っている地域でもあります。お祭りなどのシーンでお酒が登場する機会も多く、地域全体を盛り上げていく使命を感じています。そのため能登の企業ツイートや地域情報の拡散にはリツイートで貢献するようにしています。
- Twitterの中の人はどんな方ですか
広報業務を担当している社員です。
コロナ禍前から在宅勤務体制で、Twitterのほか各種SNSや、公式ウェブサイトやオンラインショップの運営に携わっています。月数回の出社時には現場の梱包作業で他の社員と共に汗を流したり、レジでお客様対応をしたり、仕込み蔵の中を自由に行き来して撮影を行うこともあります。
伝える力の強化のため、酒造りについてより深く知りたいという思いから、酒蔵の作業にも飛び込み、体験レポートを仕上げたこともありました。
ツイートポリシー・工夫していること
1. 誰も傷つけない
ネガティブな話題を避けることはもちろん、他社の商品との比較はせず、比較するのは自社の過去の商品のみと決めています。
2. 丁寧な言葉遣い、正しい日本語を使う、濁音を極力避ける
情報発信による会社のイメージや社員への影響も考慮して言葉や表現を選んでいます。
3. 難しい業界用語を使わない
例えば、「醪(もろみ)」という漢字を読める人は少ないですし、「花冷え」といわれてどのくらいのお酒の温度かわかる人は一般的には多くないです。お酒に詳しくない人でもわかる言葉で書くようにしています。
4. 少しテンションは低めに
感情の起伏を出さず、あえて控えめの落ち着いた雰囲気を意識しています。リアルな人間関係と一緒で、落ち着きのある方に対しては信頼感、安心感が高まると思うんです。落ち込んだときに元気いっぱいのツイートをみて逆にテンションが下がってしまう人もいると思うので、1日のどの時間帯、どんな気分の時に見ても負担にならないテンションを心がけています。
5. お客様の自由な楽しみ方を尊重する
企業視点でのツイートだけでなく、お客様視点も大事にしながら情報発信するようにしています。おすすめの温度帯やお料理を紹介するツイートはしていますが、お客様には日本酒に炭酸を入れたり、生酒を温めて召し上がったり、お菓子と合わせたりと自由に楽しんでいただけたらと思っています。そこから新たな気付きを得られることも多々あります。
6. 出社時には、現場の臨場感を感じてもらえるような投稿を
中の人はリモート勤務が多いため、少ない機会を捉えてなるべくお客様にその場にいる雰囲気を感じていただけるように工夫しています。
7. いただいたリプライに関しては可能な限りお返事する、いいねをする
Twitterは気軽にコミュニケーションをとるSNSとして位置付けています。
自社の商品の一番のファンになること。自分の好きなものをみんなにも知っていただきたいという気持ちが一番大事!
- フォロワーさんやツイートを見ている方とのコミュニケーションはどのようにされていますか
社名や商品名を検索し、竹葉を楽しまれているお客様へは、お礼や飲み方のご提案を、また竹葉をお取り扱いいただいている酒販店様・飲食店様へはお礼やリツイートで情報拡散しています。
弊社の商品には食材と合わせたお酒が多数あるので、そういった関わりのポイントを探して日々いいねやリツイートをしています。
能登の海藻由来酵母を使用したイカに合う純米酒「竹葉 いか純米」。発売時に全国のいかファンのフォロワーが増え、いか関連のツイートをするといかファンの方からのリアクションが多く、喜ぶフォロワーさんの顔を想像しながらツイートしている。
ジビエ料理とともに楽しんでいただきたい純米酒「Chikuha Gibier(チクハジビエ)」。野生生物を地域資源の食材として活かすため、また田畑や農作物、美しい田園風景を守るために開発された商品。
- 情報発信にTwitterを使っていてよかったと実感したことや、始めてからの新たな発見などありますか
主に石川県内で認知されていた弊社が、全国の皆様にも知っていただけるようになりました。メディアに取り上げていただける機会も増え、「石川に行ったら竹葉をお土産に買う」といったツイートを拝見することもあります。
また弊社営業社員がお取引先様へ訪問した際に、Twitterが話題にあがることもあり、営業しやすくなったと聞いたときはとても嬉しかったです。
弊社のタイムラインではないところで、弊社の商品をきっかけに利用者さま同士の会話が盛り上がり、お酒やおつまみについて会話されている姿を拝見することもあります。弊社アカウントが少しでもお役に立てて嬉しいです。
新たな発見としては、画像付き投稿の方が伸びる印象がありますが、文章のみの投稿の方が反応をいただくこともあり、皆様しっかりと読んでくださっているのだと実感しています。
- 他の企業に1つだけTwitter運用に関するアドバイスをするとしたら
自社の商品の一番のファンになること。自分の好きなものをみんなにも知っていただきたいという気持ちが一番大事!
- ありがとうございました