静岡の鋳物メーカー「木村鋳造所 @KimuraFoundry」に学ぶTwitter活用
ビジネスのご紹介
- 貴社ビジネスについて教えてください
木村鋳造所は、1927年創業の今年95年目を迎える鋳物メーカーです。
鋳物に馴染みのない方もいらっしゃるかと思いますが、自動車の金型をメインで作っており、実は国内シェアは4割強、つまり日本で走っている車の半分くらいは木村鋳造所が関わっています。
また鋳物以外に、木村デザインワークスとして発泡スチロール模型の製作も行っています。
弊社は、鋳物を作る際の型を発泡スチロールで作る製法をとっています。発泡スチロールで鋳物の型をまず作成し、それを砂に埋めて溶かした鉄を流すと、型と同じ形の鋳物ができあがるというわけです。発泡スチロールの型をきれいに作れば作るほど、きれいな鋳物ができるので、一生懸命きれいな型を作っていたら、発泡スチロールの模型その型を作って売ってほしいというお声がけをいただいたのがきっかけです。
この発泡スチロールの模型は、大型コンサートの舞台装飾や国内のアミューズメントパークの装飾、高級ブランドの店内装飾などに使われています。弊社にはこの型を作る機械が40台ほどあり、全稼働すれば数週間で納品できるのでご重用いただいています。
また、鋳物製品を配送するときの緩衝材に製品をかたどったも、製品と逆の形の発泡スチロールを使い始めたところ、大変好評でお客様からオーダーメイドの緩衝材のご要望もいただくようになりました。
- 貴社全体のマーケティングの取り組みはどのようなものですか
BtoBということもあり、マーケティングはほとんどせず受注したものを真摯に作る、それだけを90年間ずっとやってきた会社でした。木村デザインワークスを立ち上げた際、作った製品を載せて会社の知名度を上げるためにTwitterを始めました。
Twitterが一番反響があるのでTwitterをメインにし、そこで反響があったものは他のメディアにも載せているといった具合です。
木村鋳造所のキャラクター「チューゾーくん」
木村鋳造所のTwitter活用
- 貴社にとってTwitterの立ち位置、Twitterを利用する目的は何ですか
Twitterを始めた当初はとにかく知名度を上げる目的でやっていました。ツイートは新商品を出すときの告知や、リクルートのためといった形で、ビジネスライクなアカウントでしたが、フォロワーさんが増えていくにつれてカジュアルツイートが自然に増えていき、今ではフォロワーさんや他の企業アカウントとのコミュニケーションツールになっています。
社内から「これをツイートしてほしい」と頼まれることもあり、社員は自分のネタがツイートされるとうれしい→まわりにツイートの話をする→会社の宣伝になるという好循環ができています。そういったこともあってか、会社の雰囲気を伝えることには一定の効果があると思っていて、入社する人はだいたいTwitterをフォローしてくれているようです。
※ ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です
- アカウントの立ち上げ期に苦労したこと、コツを掴んだ転機などはありますか
アカウントは2017年5月に作成したのですが、最初は何をツイートしたらいいかわからず、手探り状態でした。受注生産型のビジネスなので、商品を載せることができないんです。それでもサンプルを作って写真を載せたり、会社の紹介をしたりして、1日1ツイートを目標にしました。トレンドに上がっているトピックに絡めてツイートしたりもしました。トレンドに乗っかることで会社の存在に気づいてもらえ、フォロワーが増えるという実感もあり、地道にツイートしていました。
2018年11月に、発泡スチロールでミニ四駆のコースを作ってツイートしたら、ミニ四駆ファンの方々やタミヤさんからフォローされて少し注目されるようになりました。
そのあたりから、他の企業アカウントとやりとりをしたり、キャンペーンを一緒にやろうという話に発展したりしました。いわゆるバズりというのも何度か経験し、多くの方にフォローしていただけるようになりました。
ツイートポリシー・工夫していること
- 製品はツイートしない(受注生産のため)
- 他の人を不快にさせない
- 政治・スポーツなどの派閥ができるトピックには触れない
始める時は「炎上したらどうするんだ?」と言われたこともありましたが、専務が「やってもいないのに心配しても仕方ない」と社内を説得してくれました。ある程度ルールを決め、最低限のマナーを守れば、炎上はなかなかするものではないと思っています。
- フォロワーさんやツイートを見ている方とどのようなコミュニケーションをされていますか
Twitterのいいところを凝縮したようなフォロワーさんが多く、いつも楽しく会話しています。
給湯室にナマコがあったときのツイートには「ナマコを会社に持っていくとは」「その後どうなったか知りたい」など色々な反応があり、それを機に会社を知っていただいた方も増えました。
知名度を上げる目的で始めたので、Twitter経由でお仕事のご相談があったときは驚きました
(上)ワクチン接種会場のパーテーション
(右)100万円の土屋さん。ものづくりをされている方から「作る方が値段を決めるのだ」と賛同の声を多くもらえた。
- ビジネスの発信にTwitterを使っていてよかったと実感したことや、始めてからの新たな発見などありましたらお聞かせください
知名度を上げる目的で始めたので、仕事につながることは期待していなかったのですが、土屋人形を見た方から「こういうの作れますか?」とTwitter経由でご相談があったときは驚きました。
また、静岡在住の方にフォローしてもらえたり、町内の方に認識されるようになったのは嬉しかったです。
- 他の企業に1つだけTwitter運用に関するアドバイスをするとしたら
いい意味でも悪い意味でも、発信力やフォロワーさんの力が必要なので、そう簡単に炎上はしません(笑)。デスクで異業種交流ができ、新しい知識も得られるツール。無料なのに業種によっては新しいビジネスチャンスが転がっているかもしれないので、使わない手はないです!
- ありがとうございました