多様なアクセシビリティが確保された動画の作り方
この数年間で「インクルージョン」、「アクセシビリティ」、「多様性」、「リプレゼンテーション」といった言葉が、公共の議論で話題に上る機会が増加し、多くのブランドがそうした会話に参加するようになりました。
しかしコンテンツのアクセシビリティ、インクルージョン、多様性を向上させる取り組みに関して、世界中のブランドは上辺をなぞるだけの対応に留まっており、数多くの課題が解消されないままになっています。
2019年にTwitterでの動画視聴時間が前年比で84%増加したこと1を踏まえると、動画が近年、主要なコンテンツフォーマットになっていることは疑いようがありません。こうした状況から、誰もが内容を把握できる動画を作ることは、ブランドにとって重要な課題となっています。
ここでは、Twitter動画に取り入れることのできる、5つのアクセシビリティガイドラインを紹介します。
クローズドキャプションを使う
クローズドキャプションは字幕とは異なり、周囲の雑音や、動画内の台詞以外の音声情報も考慮されており、失聴者や難聴者だけでなく、雑音の多い環境で動画を視聴している利用者や、動画の言語とは異なる言語の話者にも役立つ機能です。
台詞や音声を含む動画には、クローズドキャプションを追加しましょう。動画に音声が含まれない場合には、その旨を知らせるクローズドキャプションを追加することができます。
キャプションを作成する場合のベストプラクティスに関する5つのヒントを以下に紹介します。
キャプションの行数は3行以内にしましょう。そうすることで、視聴者はキャプションを簡単にすぐ読むことができ、また動画の重要なビジュアルの効果が損なわれにくくなります。なお、キャプションの長さは、すべて日本語の全角文字の場合で1行につき16文字以内にする必要があります。
改行はなるべく意味の切れ目に挿入するようにしましょう。たとえば長い文の場合には、意味上または文法上の切れ目に合わせて区切るようにします。
視聴者がキャプションを読む時間を確保できるように、キャプションはフレームごとに1秒以上表示させ続ける必要があります。
キャプションの既定のフォントにはサンセリフが使用されていますが、これは、特に単語を非常に速く表示させなければならない場合に読みやすいためです。
動画に無音の時間がある場合には、たとえば角括弧を使って [無音] というキャプションを入れるなど、キャプションでその旨を伝えましょう。同様に、音楽だけが流れている場面でもキャプションでそのことを説明しましょう。なお、その際は [アップテンポの音楽] など、その音楽のフィーリングを伝える表現を付け加えても良いでしょう。
Twitter動画にクローズドキャプションを追加する方法
Twitterの動画では、クローズドキャプションは.srtファイルとして動画に追加する必要があります。「SRT」とは、「SubRip字幕」ファイルのことで、字幕やキャプションの処理に使用される最も一般的なファイルフォーマットの1つです。
.srtキャプションファイルは、Twitter Media Studioに搭載されているキャプション機能を利用してアップロードします。
Twitter Media StudioにSRTファイルをアップロードする際は、キャプションが動画素材とは別に配信されることや、動画素材と結合されないことに留意しましょう。Twitterではこうした仕組みによりキャプションが表示されます。
重要なヒント: クローズドキャプションが正しく表示されていることや、区切り位置が意味上の切れ目に一致していること、そしてキャプションが動画の重要な要素(たとえば画面のローワーサード(下3分の1の部分)に表示されるテキストなど)に被っていないことをチェックできるように、動画は公開前に必ずテストしましょう。
Twitter Accessibility(@TwitterA11y)では、@TwitterSpacesに関する告知動画にクローズドキャプションを取り入れ、同アカウントのフォロワーにその内容をより分かりやすく伝えています。
動画の字幕や概要をツイート本文に含める
すべての動画は、知覚障がいや認識障がいのある利用者や、音声読み上げソフトを使用している利用者が動画の内容を把握できるように、動画の字幕または概要へのリンクを含めてツイートする必要があります。
音声読み上げソフトは、画面上のテキスト(画像の代替テキストを含む)を音声に変換する、テキスト読み上げ(TTS)エンジンを使用しています。動画がビジュアルとBGMだけで構成されていると、音声読み上げソフトが音声に変換できる要素を抽出できないため、動画の対象オーディエンスから視覚障がい者のコミュニティが排除されることになります。
ボイスオーバーを使う
ボイスオーバーは、ビジュアルがメインの動画素材に欠かせない手法です。ボイスオーバーにより、画面上の動作、音声、言葉が読み上げられ、説明されるため、動画のインパクトを高めたり、動画の内容を全盲または視覚障がいのある利用者が把握できるようにしたりすることができます。
Twitter Accessibility(@TwitterA11y)では、AndroidでTalkBackを使用し、ツイートを作成する方法を紹介するハウツー動画において、ボイスオーバーを使用しています。
ボイスオーバーは、動画戦略では最初に計画を策定するようにし、後から思い付きで導入することがないようにしましょう。そうすることで、動画の着想にボイスオーバーが適切に取り入れられ、ひいては一部の利用者にだけアピールし、他の利用者が置き去りにされるような事態を招くことなく、すべてのオーディエンスにしっかりと伝わる動画のコンセプトを確立することができます。
利用者は、動画の完全な内容をボイスオーバーのみで把握できるはずです。
重要なヒント: Twitterのユーザー名に言及する場合、ボイスオーバーでは「@」を含まないようにしましょう。そうすることで、読み上げられる内容の信ぴょう性が高まります。
点滅する光や、点滅を伴うエフェクトを使わない
動画で点滅する光や、点滅を伴うエフェクトを過剰に使用すると、視聴者がてんかんなどの発作を起こすおそれがあります。動画での点滅表現は、1秒間に3回を超えないようにしてください。
こうした発作は、再生の停止では対処できない場合があります。視聴者が動画を停止する前に発作を起こす可能性があるためです。動画で光が点滅する場合、警告文を含めるようにしてください。
Photosensitive Epilepsy Analysis Tool(PEAT)やHarding Testなどのリソースは、対象の動画が、てんかんを持つ視聴者にとってリスクとなるかどうかを判断するのに役立つ場合がありますが、コンテンツについては必ず複数のリソースで個別に調査やテストを実施してください。
重要なヒント: 動画が自動再生されるように設定している場合、視聴者が自動再生動画の一時停止、再生、停止を行えるようにしておきましょう。
手話通訳者を起用する
ライブ放送では、リアルタイムで生成されるキャプションや、手話通訳者のカメラ映像を使用することができます。ただし、Twitter Media Studioでは手話の映像を個別に取り扱うことができないため、手話の映像は動画に結合する必要がある点に注意しましょう。
ヨーロッパのクリケット評議会であるICC Europe(@icc_europe)では、クリケットの地域ファイナルの模様を、手話解説者を交えてライブ放送すると発表しています。
「世界でいま起きていること」をリアルタイムで映すTwitterでは、公共の会話が日々繰り広げられています。ここで紹介したヒントを活用することで、誰もがそうした会話に参加できるようになります。
ツイートの内容をもっと伝わりやすく、インクルーシブにする方法についてのブログをチェックし、Twitterの取り組みに関する最新情報を紹介する@TwitterAble、@TwitterTogether、@TwitterA11yをフォローすることもお忘れなく。Twitterではこうした取り組みを#UntilWeAllBelong(私たち皆が受け入れられるまで)続けて参ります。
本ブログは、ブランドがTwitterをより簡単に利用できるよう支援するTwitterの取り組みを強化するため、TwitterのアクセシビリティCOEとの連携により制作している一連のコンテンツの最初の投稿となります。アクセシビリティCOEは、リソース、ツール、トレーニングの一元化されたハブを確立することで、障がいを持つ利用者、パートナー、採用候補者、従業員にインクルーシブな環境をもたらす企業文化を醸成することをミッションとしています。
1. 出典: Twitter社内調査(2019年1月)。