三菱自動車工業
デリカミニの自然検索数が上昇!三菱自動車工業による、Xを取り入れた統合プロモーションとは
本内容はMarkeZineによる 2024/12/26 記事からの転載となります。
佐々木 もも[著] / 西川 節子[写] / MarkeZine編集部[編]
三菱自動車工業株式会社 Xアカウント: @MMCjpn
1「トレンドテイクオーバープラス」は2025年2月より「スポットライトテイクオーバー」に名称変更
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生活者と広くコミュニケーションを取る上で、デジタルプロモーションにおいても、リーチが広がるプロモーションを模索していく必要性が高まってきている。しかしデジタル領域でリーチを広げたプロモーションを行うことは、なかなか難しい現状がある。本記事では、三菱自動車工業株式会社の「デリカミニ」において取り組んでいるX活用について、生活者とのコミュニケーションの取り方をはじめ、X活用における背景や詳細、それを踏まえた今後の展望などを伺った。
マスメディア×デジタルメディアで、話題の最大化を狙う
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は三菱自動車工業「デリカミニ」のX活用事例について伺います。最初に、デリカミニが抱えていた課題について教えてください。
阿久澤(三菱自動車工業):デリカミニは、4WD車であるデリカのDNAを受け継ぎながらも「カッコかわいいデザイン」と「使いやすさ」が武器の軽スーパーハイトワゴンです。アウトドアでも日常でも、おしゃれに子供と出掛けたくなる車をコンセプトとしており、小さな子供がいる30~40歳代の家族をターゲットとしています。
2023年5月の発売から2年目を迎え、マスコミュニケーションによって一定の認知は獲得できていましたが、30~40歳代の認知の底上げと、若年女性の認知向上が課題でした。2024年の夏にデリカミニの新作CMの放映開始が決まっており、そこに合わせてコネクテッドTVやSNSなど、ターゲットと親和性の高いデジタルのメディアも掛け合わせたメディアミックスで、話題喚起の最大化を狙おうと考えました。
MZ:デジタルに着目した理由は何だったのでしょうか。
阿久澤(三菱自動車工業):若年層はどうしてもテレビ離れが進んでいることもあり、若年層との親和性が高いデジタルやSNSなどを効果的に活用することで認知の向上を図れると思い、テレビCM×デジタル施策の両輪で施策を実施することを意識しました。
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Xを統合プロモーションに活用、その背景は?
MZ:今回、プロモーションにXを活用した背景を教えてください。
阿久澤(三菱自動車工業):SNSも多くの種類がありますが、ユーザーの数が多く、拡散性が高く、かつ純広告枠におけるリーチの強さがあることからXの活用に着目しました。またXであれば、短期間で多様な広告が行えるため、施策の垂直立ち上げもしやすい点も挙げられます。加えてXは、話題化と親和性が高いと思うのですが、リポスト機能などでユーザーが自ら気軽に発話できるという点で、拡散効果が最大化できると思ったため検討しました。
MZ:デリカミニのマーケティング施策をどのように設計したのでしょうか。
島田(Hakuhodo DY ONE):話題喚起をすることによって、軽スーパーハイトワゴンの定番車という位置付けを確固たるものにしたいと思いました。話題化できるものを考えたとき、ユーザー自らが発話できるSNSが浮かびました。
特にXはユーザーの能動的な発話が多く、発言量としても最大化を狙えます。今回はコミュニケーションの軸の一つとして、デリカミニの化身である「デリ丸。」を据え、Xと連携して「トレンドテイクオーバープラス1」「ブランドアニメーション」に取り組むことになりました。
「デリ丸。」を中心としたコミュニケーションを展開
MZ:デリ丸。をコミュニケーションの中心にしたのですね。
阿久澤(三菱自動車工業):はい。デリ丸。を拡散のトリガーとして活用するのは私もやってみたいと思いましたし、施策を進めたくなった決め手になりましたね。
白井(X Corp. Japan):話題を喚起するには、話題の種作りとリーチを取る必要があります。Xでは、テレビCMが放映されるタイミングに、そのテレビCMを見た人の感想や話題がXに次々と投稿されることが多いです。加えてデリカミニでは、過去のテレビCM放映時にもXで好意的な会話が生まれていました。なので盛り上がっているところに広告でも面を作る観点で、「トレンドテイクオーバープラス1」の活用を考えました。
「トレンドテイクオーバープラス1」は、Xの中でも特に目を引く面で、テレビCM放映と掛け合わせることで施策の垂直立ち上げにおいて非常に有効です。また、さらなる話題化につなげるべく、銘苅からブランドアニメーションのアイデアが出てきました。
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銘苅(X Corp. Japan):「ブランドアニメーション」は、ユーザーがハッシュタグをタップして、絵文字が降ってくる体験を促す機能で、ユーザーにブランド体験を通じてより興味を持っていただきやすくなるソリューションを指します。また、Xならではのプラットフォーム内での広がりも作りやすいです。
犬や猫、キャラクターコンテンツは、特に女性やお子様がいる方に好まれやすい傾向にあります。デリ丸。を有する三菱自動車様にしかできない生活者とのコミュニケーションができると考え、リーチを最大化できる「トレンドテイクオーバープラス1」と組み合わせ、多くのユーザーが興味を持っていただけるような提案をしました。
個人的にもデリ丸。が降ってくるところは見てみたかったです(笑)
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島田(Hakuhodo DY ONE):銘苅さんからもあったように、キャラクターをフックとしたコミュニケーションは若年層やファミリー層に好まれる傾向があるため、デリ丸。によってより多くのユーザーにリーチできるのではないかと思いました。今までも、デリ丸。の好感度とデリカミニの好感度は比例するように上昇していましたし、三菱自動車様でしかできないコミュニケーションがX内でできると考えました。
阿久澤(三菱自動車工業):ブランドアニメーションの過去事例を見て、スクリーンショットを撮るなどしてユーザー自身に拡散していただけそうだという期待を感じました。
ユーザーが「つい拡散したくなってしまう」ローンチ施策
MZ:具体的な取り組みについて教えてください。
阿久澤(三菱自動車工業):2024年8月12日にテレビCMの放映が始まり、8月13日には24時間限定で、「トレンドテイクオーバープラス1」「ブランドアニメーション」を実施することにしました。そのため、スケジュールを逆算して2024年6月頃から動き始めました。
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島田(Hakuhodo DY ONE):実際のプロモーションは、まず7月から購入意向が高まっている生活者に向けて、オンライン見積もりや試乗車検索などを促す「獲得広告」を実施し、ローンチ素材やUSP素材を使用した静止画広告の配信を始めました。8月14日以降は「獲得広告」にて、夏仕様の素材を追加。静止画と動画素材を用意し、フルファネルでの訴求を行いました。
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阿久澤(三菱自動車工業):発話しやすいハッシュタグワードとテキスト文はかなり吟味しました。Xのトレンドには、よく検索されているワードが出てくると思いますが、トレンドのトップに載るということを想定して、「つい見たくなり、拡散したくなるようなワード」を設定しました。そこで生まれたのが「#デリ丸大発生」です。ハッシュタグの遷移先であるブランドアニメーションでは、デリ丸。が降ってくるアニメーションを楽しんでいただくと同時に、テレビCMも流れる仕立てにしました。
このような形で、ユーザー自身がCMに関して能動的に視聴してもらえることを意識しました。また、24時間限定という限定感を訴求するために、1人でも多くの流入を目指そうと、三菱自動車のLINE公式アカウントからも同じ内容のポストをして、リーチの最大化を図りました。
検索エンジンでの自然検索が上昇!成功の要因は
MZ:プロモーションの反響はいかがでしたか?
阿久澤(三菱自動車工業):プロモーションの結果、弊社のホームページへ自然検索からの流入が増加しました。また「デリ丸。かわいい!」「デリカミニ、いいね!」といった好感度の高いポスト内容も多く、大きな反響がありました。
島田(Hakuhodo DY ONE):想像よりもはるかにユーザーのポジティブな反応が多く驚きました。「かわいい」だけではなく、「ほしい」といった声や実際に購入を検討するコメントも見つかりました。今回の施策を始めたと同時に、X上の検索に加え、検索エンジンでの自然検索数も増加しました。
一般的に、自然検索からの流入と、試乗予約や受注販売の数は、相関関係にあることも多いので、そうしたことにもつながったのではないかと思っています。
銘苅(X Corp. Japan):「トレンドテイクオーバープラス1」を活用しユーザーの発話を促したことで、デリカミニに関連するX上の会話が増えました。加えてX内における1日あたりの検索量を、8/13の「トレンドテイクオーバープラス1」実施前後で比べた結果、約30%も上昇しました。
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銘苅(X Corp. Japan):車種の情報を認知したユーザーが興味関心を持ち、検索行動に移ったことから、X内でファネルダウンしたと捉えられます。したがって検索量が増えたことは大きなポイントであると言えるでしょう。
また、X内の検索量と自然検索量には相関がみられます。X内で情報量(インプレッション)を増やし、車種の情報をユーザーが目にしやすい環境を作ることで、X内の検索量が増加。あわせて検索エンジンでの自然検索量の増加にもつながっているのです。
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メーカー側の発信をきっかけに、生活者が楽しめるようなコミュニケーションを
MZ:最後に、今回の学びや今後の展望について教えてください。
阿久澤(三菱自動車工業):デリカミニやデリ丸。について能動的な発話が多くなった印象を受けました。広告配信となると、どうしても強制的な視聴になってしまいがちですが、Xにおいて設計をうまく行えば、能動的に視聴していただけるメディアになると気づきました。
認知や興味の最大化を図ったとしても、シンプルに「いいな」「好き」と思っていただけることが非常に大切ですので、こういったフルファネルのプロモーションとXは、相性がいいと再認識しました。今後も、メーカー側の発信をきっかけに、生活者同士で楽しんでいただけるようなコミュニケーションを図っていきたいです。
島田(Hakuhodo DY ONE):今回、統合プロモーションにXを組み込んだことによって認知醸成に一定貢献できました。同時に獲得広告においても、実施前後1週間で比較するとコンバージョン率が上昇したことで、相乗効果もありました。
検討期間の長い商材だからこそ、フルファネルでの実施により、車種に対する興味関心を強化したり、購入への後押しをしたりといった一種の種まきができたと実感しました。今後もデリカミニを、世代を超えていつまでも愛されるブランドにすべく、三菱自動車様のチャレンジをサポートしてまいります。
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白井(X Corp. Japan):Xの利用者は増えており、広告プロダクトに関してもアップデートが続きます。これからの三菱自動車様のメディアを横断したプロモーションにも、さらに進化した形でXの活用を提案していきたいですね。
デジタルコミュニケーションの中で、地域や年齢、性別関係なく広く認知が広げられる媒体はそう多くはありません。フルファネルで行うコミュニケーションを行う際に、「トレンドテイクオーバープラス1」や「獲得広告」をはじめとした、X広告をひとつの打ち手として加えていただけたらと思います。
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